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【Nobel Prize】2021 ノーベル賞 受賞者まとめ

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2021年10月4日から11日にかけて、ノーベル賞の受賞者の発表が行われました。

昨年度に引き続き、ノーベル財団はスウェーデンのストックホルムで行う授賞式を新型コロナウイルスのパンデミックによりリモートで行うことを発表。一方、ノルウェーのオスロで行われる平和賞は対面で行われることになっています。

2021年ノーベル物理学賞に選ばれた日本に縁のあるアメリカ・プリンストン大学の真鍋淑郎さんへのメダル授与は、12月6日、居住地アメリカの首都ワシントンで行われました。

受賞者の笑顔を見ると、withコロナの時代でもノーベル賞の栄誉は変わらず・・を実感することができます。

The Nobel Prizeのホームページを参考に、2021年受賞者についてまとめました。

ストックホルム名物?受賞者がお土産に爆買いするノーベルメダルチョコ

物理学賞(Physics)

“For groundbreaking contributions to our understanding of complex physical system”

「複雑な物理システムの理解への画期的な貢献」

として、3名が選ばれました。

“For the physical modelling of Earth’s climate, quantifying variability and reliably predicting global warming”

まず、「地球温暖化の予測のための気候変動モデルの開発」と題して、2名をジョイントで選出しています。

Syukuro Manabe(Princeton University, USA)

Klaus Hasselmann(Max Planck Institute for Meteorology, Hamburg, Germany)

真鍋淑郎氏は日本出身の米国籍ということで、日本でも話題になりました。

日本側の都合で日本人受賞者にカウントするのはいかがなものか・・?とは思いますが

90歳での受賞ということも驚きでした。ノーベル賞の受賞には実績のみならず、長生きすることも大切!健康第一です。

そして、もう1名は

“For the discovery of the interplay of disorder and fluctuations in physical systems from atomic to planetary scales”

「原子から惑星までの物理システムの無秩序と変動の相互作用の発見」

Giorgio Parisi(Sapienza University of Rome, Italy)

直訳するとなかなか理解できませんが、要は「気候などの複雑な物理現象に法則性を見いだした」ということだそうです。

気候変動などの環境問題に関心が高まっている昨今、時代のニーズにマッチした研究内容が選ばれたということでしょう。

賞金の1000万スウェーデンクローナの配分については、プレスリリースによると以下の通りとなります。

one half jointly to Syukuro Manabe and Klaus Hasselmann and the other half to Giorgio Parisi

引用元:Press release: The Nobel Prize in Physics 2021

Syukuro Manabe (Prize share・・1/4)  
Klaus Hasselmann (Prize share・・1/4)
Giorgio Parisi(Prize share・・1/2) 

化学賞(Chemistry)

Benjamin List (Max-Planck-Institut für Kohlenforschung, Mülheim an der Ruhr, Germany)

David W.C. MacMillan(Princeton University, USA)

“For the development of asymmetric organocatalysis”

化学賞には、有機触媒(ゆうきしょくばい)の開発研究で大きな貢献をしたドイツの研究機関とアメリカの大学の研究者2人が選ばれました。

かつて、薬品などを作る際に金属を触媒に使っていましたが、金属を含まない有機触媒を開発したことで、環境に優しく低コストで薬品を作れるようになったそうです。
物理学賞と同様、環境問題を意識した受賞理由となっていますね。

賞金の1000万スウェーデンクローナの配分(prize share)についてはそれぞれ二分の一ずつとなっています。

生理学・医学賞(Physiology or Medicine)

David Julius (University of California, San Francisco, CA, USA)

Ardem Patapoutian (Howard Hughes Medical Institute, Scripps Research, La Jolla, CA, USA)

For their discoveries of receptors for temperature and touch”

2人の研究により、どのように熱さや冷たさなどを神経の信号にかえ、周囲の世界を認識し適応しているのか理解することが可能になりました。これにより、慢性的な痛みに対する治療法の開発などに貢献しているそうです。

賞金の1000万スウェーデンクローナの配分(prize share)についてはそれぞれ二分の一ずつとなっています。

文学賞(Literature)

Abdulrazak Gurnah (Born: Zanzibar
Residence at the time of the award: United Kingdom)

ザンジバル(現在はタンザニア連合共和国に属する地域)出身でイギリス在住のアブドゥルラザク・グルナ氏が受賞しました。

” For his uncompromising and compassionate penetration of the effects of colonialism and the fate of the refugee in the gulf between cultures and continents.”

植民地主義や難民の運命に対して妥協せず、思いやりを貫く姿勢が評価されての受賞となりました。

平和賞(Peace)

Maria Ressa (Born: Philippines)

Dmitry Muratov (Born: USSR )

平和賞は、フィリピンと旧ソ連出身のジャーナリストが選ばれました。

“For their efforts to safeguard freedom of expression, which is a precondition for democracy and lasting peace.”

民主主義と永続的な平和の前提条件である表現の自由を守るための努力が評価されての受賞となりました。

フィリピンと言えばドゥテルテ大統領、旧ソ連と言えば・・言わずもがなですが、その中でジャーナリズムを貫くことは大変なことだったと多います。

平和賞だけは12月10日にノルウェーのオスロで授賞式を行い、メダルの授与と受賞者のスピーチが行われました。

賞金の1000万スウェーデンクローナの配分(prize share)についてはそれぞれ二分の一ずつとなっています。

経済学賞(Economic Sciences)

経済学賞は3名が受賞しました。

1人目は、David Card(University of California, Berkeley, USA)

“For his empirical contributions to labour economics”

和訳すると、「労働経済学への彼の​​経験的貢献に対して」

そして、ジョイントで2名が選出されました。

Joshua D. Angrist(Massachusetts Institute of Technology, Cambridge, USA)

Guido W. Imbens(Stanford University, USA)

“ For their methodological contributions to the analysis of causal relationships”

和訳すると、「因果関係の分析への方法論的貢献に対して」

これだけだと労働経済に何か貢献したらしいことしか分からないので、こちらを参考にしました。

授賞理由について王立科学アカデミーは「『自然実験』と呼ばれる手法を使って、労働市場に関する新たな知見を提供した」としています。
経済学の分野では、一般的に社会実験でものごとを証明することが難しいとされますが、3人は、社会に起きた変化の前後などを比較する「自然実験」と呼ばれる手法を確立しました。
そして、カード氏は、労働者の最低賃金を引き上げた場合に、負担が増した企業は雇用を減らすはずだとされていた常識が必ずしも正しくないことを自然実験の手法を用いて実証するなど、労働市場の分野で大きな研究成果を挙げたことが評価されました。

引用元;NHK「2021年のノーベル経済学賞に
社会の変化と雇用の関係など調べた3人」

カード氏の最低賃金を引き上げても企業は必ず雇用を減らすわけではない・・という研究成果は驚きです。普通はコスト増から安易に人件費カットを考えてしまいますが、必ずしもそうではないということだそうで、プライズシェアの半分を獲得できるのも納得です。

David Card(Prize share・・1/2) 
Joshua D. Angrist (Prize share・・1/4)  
Guido W. Imbens (Prize share・・1/4)

まとめ

2021年のノーベル賞について簡単にまとめてみました。
最近の社会問題にコミットする成果を上げた方が選ばれる傾向にある印象を受けました。

コロナ禍での受賞式となり、例年の晩餐会もありませんが。受賞者の笑顔が何よりその価値を物語っているような気がしました。

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