スウェーデン、特にストックホルムでは慢性的な住宅不足に陥っており、賃貸アパートを借りるのも一苦労です。
街にある不動産屋は分譲の取扱いばかりなので、日本のように駅前の不動産屋に飛び込んでみる・・という荒業は使えません。
実際に賃貸アパートメントを契約するまでの過程について、体験談を基に紹介していきたいと思います。
スウェーデンの賃貸事情
スウェーデンの大都市では直接契約(First hand)の賃貸物件の待ち行列が非常に長く、多くの人々が10年以上待つのが常態化しています。
スウェーデンの80%以上の自治体で住宅不足となっており、留学生やスウェーデンに来たばかりの移民など、多数の人に十分な住宅を供給できていない状況です。
また、住宅ローンを取得するための要件が厳しくなり、スウェーデンの居住者が不動産を購入するのが難しくなったこともあり、多くの人々がサブリースもしくは所謂又貸しに当たるSecond handという形態で借りざるを得なくなっています。
こうしたSecond handは基本的には個人間取引になるため、借り手の足元を見て家賃を釣り上げるケースもあるなど問題を含んでいます。
スウェーデンの住宅不足やSecond handの問題点についてはこちらの記事を参考にさせていただきました。詳しくはこちらをご覧ください。
“Revealed: The state of Sweden’s housing shortage”
THE LOCAL SE
“How to avoid being ripped off when you’re renting in Sweden”
THE LOCAL SE
「いいね」で始まる物件探し
ここからはSecond handで賃貸アパートを借りる場合についてお話を進めていきます。
Second handの物件を探す方法には物件仲介サイトなどいくつかありますが、私たちが最終的に物件を見つけた方法は某SNSでした。
某SNS上に借り手募集の告知が出ていたのを職場のボスが見つけて教えてくれたのです。
スウェーデンではこういった知人を介して賃貸契約を結ぶ例も少なくないそうです。
“ボスの友人”という近いのか遠いのかよく分からない繋がりでしたが、ひとまず紹介してしていただき、まずは内覧をすることにしました。
内覧に行こう!
紹介の話が出てからあっという間に内覧日が決められ、当日を迎えました。ちなみに、オーナー(貸し手)とのお話やメールのやり取りは全て英語OKでした。
本当に降って湧いた話でしたので、予備知識もほとんどない状態で見学に臨みました。
条件がいいのかどうかも良く分からなかったのですが、東京の相場と比較すると悪くない、むしろ好条件?と思えたので、即決しました。
(持ち帰って検討・・という雰囲気でもなかったので即決せざるを得なかったというのもあります)
物件の内容は以下の通りで、ストックホルムの賃貸物件としては標準的な設備だと思います。
- 最寄り駅から徒歩10分圏内
- 室内はキッチン、リビング、ベッドルームで構成
- 室内設備はシャワー、トイレ、洗濯機、食洗機、ラジエーター、その他大型家具・家電
- 家賃には水道、光熱費、ネット回線代込み
- 地下に共用のランドリールーム、ゴミ捨て場あり
バスタブがないのが残念ですが、洗濯機と食洗機があるのが嬉しいポイントでした。
最後の難関、審査を受ける
オーナーと話がまとまって、晴れて引越し・・という訳にはいかず、入居前には審査を受けなければなりません。
スウェーデンではたとえオーナー(貸し手)がOKでも、アパートを運営するコミュニティ(管理組合的なもの)の許可がなければ住むことはできません。
アパート管理組合の審査を受けなければならないのです。
審査は提出書類に基づいて行われます。
私達が求められた書類は主に
- ID(パーソナルナンバー )関係
- 職業、収入に関する証明
- 前の住まいでトラブルを起こしてないという証明
書類関係はオーナーを通して依頼されます。
組合→オーナー(貸し手)→我が家(借り手)
この順で話がくるのですが、基本的にオーナーからの指示で書類を準備するため、管理組合と直接接触を持つことはありません。
私達の場合、書類のどこかに不備があったのか、なかなか管理組合の許可が降りない事態となってしまいました。
組合・オーナー間でどのような話があったのか詳しくは分からないのですが、最終的に“ボスの推薦状”を追加提出という形で無事に決着、許可を受けることができました。
ここで個人的に注目なのが、提出書類の3番目にある前の住まいでトラブルを起こしてないという証明です。
これって新参者にはすごくハードル高いと思いませんか?
我が家はスウェーデンに来た当初、職場の家族寮に一度入り、その後引っ越しという手順を踏んでいたため、最初の家族寮の管理組合から証明を受けることができました。
しかし、最初にホテル住まいをしてアパートを探した場合、こういった証明を受けることができないので物件探しはより困難になってしまいます。
仮に日本だとしたら、仕事をしてて敷金を払うお金があれば普通はどこか借りられると思います。
お金だけではない、NO TROUBLEという“信用”が更に必要とされるところに、アパート内の秩序を守ろうとする強い姿勢を感じました。
まとめ
スウェーデンの賃貸物件探しについて体験談をもとにお話してきました。スウェーデン(特に大都市)では基本的に貸し手優位なので、借りる側からするとなかなか大変な状況です。
仕事、お金、信用が揃ってようやく借りられる・・スウェーデンの賃貸事情の厳しさを感じる経験でした。