外来語をカタカナでそのまま取り入れてしまうのは、良くも悪くも日本語の特徴の1つだと思いますが、全てが英語由来とは限りません。
中にはスウェーデン語を起源に持つものがあります。
それは、ombudsman (オンブズマン)
オンブズマン(ombudsman)という言葉はスウェーデン語で「権限を与えられた代理人」を意味するが、その語源は中世のゲルマン民族社会において「不法な行為による被害者に代わって不法行為者から補償金を取り立てるために選任された者」をオンブズマンと呼んでいたことに由来する。
引用元:北海道庁ホームページ「オンブズマン制度」
現在世界に普及しているオンブズマン制度の原型は1809年スウェ-デンに生まれた。これは議会が行政監視のため議会の代理人「国会オンブズマン」を任命し、強力な行政調査権と公務員訴追権を与えて「公務サービスの執行状況」を監視させたもので、その職は憲法において保障されていた。当時のオンブズマンの任務は行政監視が主で、国民の苦情処理は従たる役割であったと言われている。
19世紀にスウェーデンで誕生した行政監視の仕組みが世界に広がり、それと同時にスウェーデン語のombudsmanという言葉も世界で知られるようになりました。
日本では比較的新しい制度で、1992年に川崎市と東京都中野区がオンブズマン制度を導入したのが始まりです。
国としてのオンブズマン制度はロッキード事件を契機に検討されたものの、結局実現には至りませんでした。
また、日本の議会活動は政治家が専任で行うものというイメージが強いですが、スウェーデンではコミューンという地方自治体の活動をほとんどの議員が兼業で受け持っています。
昼間は普通に仕事をし夜に議員として活動するため、一般市民も地方自治に参加しやすい仕組みとなっています。
地方自治の住民参加が進んでいるスウェーデンが、オンブズマン制度の起源となったこともある意味自然なことと言えるかもしれません。
日本ではまだまだ新しい制度のombudsman(オンブズマン)ですが、スウェーデン由来の制度であるということを知っていただけると嬉しいです。