10月7日〜14日にかけて、2019年ノーベル賞受賞者の発表が行われました。
スウェーデンといえば(平和賞はノルウェーですが)12月にノーベル賞の授賞式、晩餐会が開かれることでも有名です。
12月の授賞式に先駆けて2019年の受賞者についてまとめてみました。
物理学賞(Physics)
“For contributions to our understanding of the evolution of the universe and Earth’s place in the cosmos”
(宇宙の進化と宇宙におけるこの地球の立ち位置に関する人類の理解への貢献)
- James Peebles(Prize share 1/2)
- Michel Mayor(Prize share 1/4)
- Didier Queloz (Prize share 1/4)
壮大すぎて難しいですが、太陽系の外側、遥か遠くの惑星系についての研究です。受賞の割合を見る限り、Jamesさんの功績が大きい模様。
化学賞(Chemistry)
“For the development of lithium-ion batteries”
(リチウムイオン電池の開発)
- John B. Goodenough(Prize share 1/3)
- M. Stanley Whittingham(Prize share 1/3)
- Akira Yoshino(Prize share 1/3)
吉野彰さんのノーベル賞受賞という嬉しいニュースが記憶に新しいです。
リチウムイオン電池はスマホのバッテリーなど日常生活に当たり前のように使われていますが、ノーベル賞の受賞で改めてそのすごさを感じることができました。
日本のノーベル賞受賞は18年の京都大学の本庶佑特別教授に続き27人目(米国籍を含む)。化学賞の受賞は10年の根岸英一氏、鈴木章氏に続き計8人となった。企業所属の研究者では02年の田中耕一氏以来となる。
引用元:2019/10/10 日本経済新聞 1面「ノーベル化学賞 吉野彰氏
リチウムイオン電池開発、米大2教授と スマホやEV普及 」
生理学・医学賞(Physiology or Medicine)
“For their discoveries of how cells sense and adapt to oxygen availability”
(低酸素状態における細胞の応答)
- William G. Kaelin Jr(Prize share 1/3)
- Sir Peter J. Ratcliffe(Prize share 1/3)
- Gregg L. Semenza (Prize share 1/3)
低酸素状態になった細胞には、酸素不足を知らせるたんぱく質「HIF」(ヒフ)が存在するという研究です。
スウェーデンのカロリンスカ研究所は7日、2019年のノーベル生理学・医学賞を、細胞が酸素不足の状態に適応する仕組みを発見した米英の研究者3人に贈ると発表した。高い山に登ったり貧血になったりして体内の酸素が不足した時に、細胞内で起きる現象を分子レベルで明らかにし、貧血やがんなどの治療応用にも道を開いた
引用元:2019/10/7 読売新聞「ノーベル生理学・医学賞に米英3氏…細胞の低酸素対応を解明」
HIFについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
文学賞(Literature)2018・2019
文学賞は選考委員のスキャンダルで見送られていた2018年と併せて発表されました。
2018
“for a narrative imagination that with encyclopedic passion represents the crossing of boundaries as a form of life”
(広範に及ぶ情熱により、生というものの形の境界の超越を表現する物語の想像力)
- Olga Tokarczuk(ポーランド)
2019
“for an influential work that with linguistic ingenuity has explored the periphery and the specificity of human experience”
(言語上の創意工夫により、人間の経験の周縁や特異性を探求した影響力のある作品)
- Peter Handke(オーストリア)
平和賞(Peace)
“for his efforts to achieve peace and international cooperation, and in particular for his decisive initiative to resolve the border conflict with neighbouring Eritrea”
(隣国エリトリアとの関係を修復するために指導力を発揮し、平和と国際協調を成し遂げるための努力を行ってきた)
- Abiy Ahmed(エチオピア首相)
経済学賞(Economic Sciences)
“for their experimental approach to alleviating global poverty”
(世界の貧困緩和に向けた実験的アプローチ)
- Abhijit Banerjee
- Esther Duflo
- Michael Kremer
※賞金は均等に分配
もっと詳しく!
2019年の受賞者についてはノーベル賞のホームページ(英語)で詳しく説明されています、
また、歴代受賞者やアルフレッド・ノーベルに関することについてはノーベル博物館で展示され、オーディオガイドでも説明を聞くことができます。
こちらのオーディオガイドは、オンライン上でフリーアクセス(日本語あり)のため、ノーベル賞について学ぶのにとても便利!
ノーベル博物館についてはこちらの記事に記載しております。
晩餐会のディナーについてはストックホルム市庁舎のレストランで体験可能。体験記はこちらです。
ノーベル賞の発表は例年注目を集めますが、日本人受賞者のあるなしに関わらず、大きな功績を残した研究や活動に触れる良い機会ですので、気になったら調べてみると面白いと思います。