2022年4月、東京の帝国ホテルのフランス料理店レ セゾンでフレンチのコース料理を食べてきました。フレンチのコース料理をいただくのは本当に久しぶりでしたが、記念日ということもあり奮発しました!
コースの目玉は冬の名残りの黒トリュフ!そして他の料理は春の旬の食材を中心に、2つの季節を一緒に味わえるこの時期ならではのラインナップです。
黒トリュフの魅力と春の旬を合わせたコース料理 Le menu de Thierry について紹介していきます。
コース料理 Le menu de Thierry について
Le menu de Thierryはランチとディナー共通のフルコースメニューで、季節ごとに内容が変わります。コースは一部の料理を除いたりアラカルトを追加したりできます。
ちなみに、レストランのシェフがティエリー・ヴォワザンなので、Le menu de Thierry(ティエリーのメニュー)、シェフの名を冠するメニューなのです。訪問時のメニューは以下の内容でした。
コース料理の前菜の前に
メニューには載っていませんが、前菜の前に必ず登場するレ セゾンのオリジナル缶に入った料理です。今回のものは、カニの身をベースに、その上にゆずが散りばめられ、ピリッとした辛さがアクセントになっていました。
前菜1 赤座海老とキャビア、ラビオリ
赤座海老は頭の方は生に近く、尻尾に行くほど火がしっかり通っています。
生の海老の食感が強いので、甘エビが好きな人にオススメの味です。
上の黒い粒がオシェトラキャビアで塩気がよく効いて味のアクセントになっています。
白いムースの上の赤いのがシトロンキャビア、その周りにレモンの皮が散りばめられています。
この白いムースですが、ものすごくすっぱいです。柑橘系のすっぱさを凝縮したような感じがするので油断すると口に入れた瞬間びっくりします。
余談ですが、スウェーデン語のcitron(シトロン)はレモンという意味で、ドイツ語やオランダ語にも同様の表現があるそうです。ヨーロッパの言語はお互いに共通点がありますね。
メニューにはラビオリとありますが、簡単に言ってしまうと西洋風の餃子、豚肉と海老を合わせた具を包んだラビオリをブイヨンで煮込んでいます。豚肉を使っているところも餃子っぽいですね。
キャビアの塩気が強いのに対して、こちらは出汁の味がメインです。ちょっと物足りなさも感じましたが、これ以上塩気を強くするとスープの味が損なわれて本当に水餃子になりかねないので、このくらいがちょうど良いのだと思います。
日本の餃子というよりは、海外でダンプリング(餃子)として出される料理を食べてる感覚に近いと思います。
豚肉を使っていますが、海老の出汁もしっかり効いているので余すことなく海老を味わうことができます。
前菜2 フランス産ホワイトアスパラとライチ
フランス産ホワイトアスパラとライチを合わせ、その上にうるいをのせています。
うるいは、雪の多い地域の冬春作物の1つで、僅かな苦味が早春の息吹を感じさせてくれます。
レストランの入り口には、シェフが満面の笑みでアスパラを紹介している写真入りのチラシがあるのでかなり気合の入った一品だと思います。店内にもカゴに入ったホワイトアスパラが置かれていたので、アスパラはこの季節の重要食材なのです。
アスパラとライチという組み合わせに最初は驚きましたが、アスパラやうるいの苦味にライチの甘みを合わせると不思議とちょいど良いバランスになりました。
アスパラ一本をドーンと出すのではなく一口大にカットされていたので、アスパラの繊維質な部分をあまり気にせずいただくことができました。
魚料理 縞鯵と筍
縞鯵の火入が絶妙な逸品です。
縞鯵はお寿司やさんでお目にかかることがほとんどですが、焼きすぎず、かといって生でもない・・とにかく美味しい!筍もシャキッとしており、うどと合わせて春らしい一皿です。
※縞鯵の旬は6月から8月、養殖なら1年中OKです。
肉料理 仔牛と春野菜
メインの肉料理としてはアッサリしていると思います。
春野菜と交互に食べるのがオススメだそうで、片方だけを一気に食べるよりお互いを引き立て合っている気がしました。
濃厚なソースと肉厚なステーキではないのと、とにかく柔らかいのでさらっと食べられます。
これでコース料理がお終いだとちょっと物足りないかな?という印象ですが、この後に黒トリュフが控えていると思うと、むしろこのくらいがちょうど良い気がしてきます。
黒トリュフのパイ包焼き
こちらのコースのクライマックス!黒トリュフの登場です。パイ包にナイフを入れると確かな手応えを感じます。
ぎっしり詰まった黒トリュフの存在感!
早速いただきます。
トリュフは香りを楽しむものとは言いますが、これだけのトリュフになると味もしっかり!高級感ある味わいに幸せな気持ちになれます。
次に、一緒に包まれていたフォアグラを合わせていただきます。
これが本当に良く合う!気の利いた表現ができないのがもどかしいですが、フォアグラの濃厚さとトリュフの香りが絶品です。
フォアグラ単体も美味しかったのですが、フォアグラと黒トリュフは一緒に食べた方がより美味しくなります。
カフェ・小菓子
小菓子はどれも美味しいですが、フィナンシェが温かくてgood。
左奥のシュークリームの形をしたものは、クレームブリュレに近い味でほのかな苦味が効いた大人のお菓子でした。
デザート
フランボワーズやライチを使ったデザート。目の前でシャンパンロゼのソースをかけてくれます。フランボワーズを使ったさっぱりとしたデザートです。
コーヒーか紅茶と一緒にいただきます。
お祝いのケーキ
来店目的が“お祝い”だったので、記念にケーキをいただきました。
ベリーのソースをたっぷり使い、両サイドをホワイトチョコのプレートで挟んでいます。
お祝いの気持ちは嬉しいのですが、この時点でかなりお腹いっぱいだったのでちょっと重いかな?と思いつつ、しっかり全部いただきました。
コースを振り返って、感想
早春という季節もあり、春野菜のほのかな苦味を生かした爽やかな料理が中心のコース料理だったと思います。濃厚なソースを惜しみになく使う料理が多かったら途中でお腹いっぱいになってしまい、黒トリュフとフォアグラまで辿り着けなかったかもしれません。
こちらのコースはアカザ海老の前菜と黒トリュフを抜くこともできますが、コース全体がスカスカな印象になってしまうかもしれません。それ程、黒トリュフとフォアグラ以外は濃厚さを抑えていると思います。料理全体がクライマックスの黒トリュフに向かって計算し尽くされている・・くらいの印象があるので、可能なら料理を抜くことなく食べるのがオススメです。